理事長挨拶
 

平成18年7月に誕生した「よこはま高度実装技術コンソーシアム(略称YJC)」は13周年を迎えることができました。この間の各方面からのご支援ご鞭撻に深く感謝申し上げます。多くの研究者のサポートと会場提供などで活動の中心にいる横浜国立大学、コンソーシアムの健全な運営を担う特定非営利活動法人YUVEC、そして発足当初のネットワークづくりや資金面で多大なご支援をいただいた(株)TNPパートナーズ、技術者育成の事業にご協力いただいてきた (株)メイコー、(株)図研、シークスエレクトロニクス(株)、山下マテリアル(株)、アントム(株)、シーマ電子(株)、マイクロモジュールテクノロジー(株)等 地域産業界の皆様、さらには様々な助成金、共同研究、地域の展示会への参加等でご支援をいただいてきた関東経済産業局、神奈川県、横浜市、神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)などの公的機関に心より御礼申し上げます。

エレクトロニクス分野においてはかつて我が国が優位性を持っていたテレビ、パソコン、携帯電話等の機器がスマホに融合して、米国、韓国、台湾および中国等が世界をリードする状況に一変しました。その次の先端技術としてパワーデバイスが注目され、日本の得意な材料分野としてワイドバンドギャップ半導体材料、特に、炭化ケイ素(SiC)と窒化ガリウム(GaN)によるパワーデバイスの開発が日本をトップとして進み、それを実際に活用するための実装技術も開発が進んできました。その中でYJCはKAMOME-I, II, III-、KAMOME-Aのプロジェクトを進め、国内外から注目される成果を挙げています。それを活かすと共にパワーデバイスを俯瞰して新たな発想ができる技術者を育成するためにNEDOの「先端パワーエレクトロニクス技術体系教育講座」を実施して参りました。大きなパラダイムシフトの中にあって、日本の得意とする総合技術である「JISSO」に関わる材料・電子部品・モジュール化・組立などにわたる企業間の深いレベルの擦りあわせと常に新しい技術の採用を今後も発展させて行くために、YJCは大きな役割を果たしてきたと共に、今後も国内外からさらに大きく期待されています。

神奈川県には高度なエレクトロニクス産業や自動車産業の製品開発拠点が以前から多く存在し、また研究や開発試作に欠かせないエレクトロニクス実装技術関連の中小企業やベンチャーの集積があります。YJCではこれらの企業で経験を積んだシニアのOBが中心となって、技術交流セミナー、JISSOスクール、研究開発プロジェクトの3本の柱からなる活動を展開して、大学の先生方と企業の開発現場で活躍している技術者らが積極的に交流する場を作っています。実装は電気・電子工学、材料工学、機械工学等の多様な分野の知識が集積されている総合工学であり、それぞれの分野で最先端の知識/技術を持っている研究者/技術者が集まって密接な情報交換を行うことによって、技術のポテンシャルをさらに上げて行きましょう。

今後も「JISSO」という言葉をキーワードにして、企業OBがコーディネーター役を務めながら産学公の連携を図っていくこのような試みは他に例がないものとして、 神奈川県内外の産学公の高度実装技術に関する知恵を結集し、ニーズとシーズの「交流の場」の提供と、技術問題の解決や企業間の共同研究開発の促進による事業化の加速を目指します。エレクトロニクス実装関連企業をはじめとして、本事業に興味を持たれる皆様の積極的なご参加をお願い申し上げます。(2019年7月)

よこはま高度実装技術コンソーシアム 理事長

横浜国立大学大学院 教授 羽深 等